もうすぐ咲く頃でしょうか。

15年を超える程、以前の出来事・・・、
しばらく住んでいた戸建て仮住まい、朝から玄関の扉を開いたら、
広い庭の剪定のため家主さんの依頼で(シルバーセンターから?)、既に作業を始めて下さってたご年配の方から・・

「!!!」。

・・??、突然強い口調で、なんとおっしゃたか分からず、
・・??、   「えっ?」  ・・思いつつ、


いつものように母を付き添い通院のために、庭沿いの駐車場まで歩くことがままならない母の手を引いて、
車のドア迄10秒も掛からない程度の距離を、数分間掛けて一歩一歩、
・・じわり、じわり、じわり・・  進んでいたら、

私たち二人の様子を見られたその剪定の方、ピタッと口を止められ,


その間、

「パチン・・  パチン・・」 と枝鋏の音だけ。

静かに時が過ぎるあいだに、

( この方も同じくお母様がいらしたこと・・      これまで多くの人生があられたであろう・・ )

・・・と、

その優しく温かい沈黙に、
こちらも無言で感謝しながら・・予約時間急いで車を走らせました。


お昼を過ぎ、数時間後に通院から帰宅した時、既に作業を終えられどなたもいらっしゃらなく、
同じく車から手を引いて  又じわり、じわり・・。


そして扉直前で目にしたもの・・・


       なんて事でしょう


それまで庭のその場には明らかになかったはず、
直前に植えつけて下さり、湿った土が盛られた  ピンク色の可憐な花が・・。

私達が歩いて必ず見える所で、静かに優しく微笑んで出迎えてくれた一輪の花。


剪定作業のためにいらして何かしらか怒鳴ってらした、初めて逢ったご年配の方の言葉に出されない武骨なその優しさ、

温かい心、

そしてご自身が ・・、   ご自身の母を想われる  静かな心・・・。



温かいものがあふれ
癒されたものでした。 それ以来そこに居る期間、同じようにそこを通る度、

いつでも優しく咲くその花は、日暮れ時につぼみ、又朝方開き、

絶えず微笑んでくれた無垢で可憐な花。


今でも、
その可憐さとは程遠い武骨なその方の優しさを思い出す度に、温かいものが込み上げます。


そしてその花をどこかで見つける度に、いつも振り返って愛でてしまいます。


もうそろそろ咲く頃でしょうか・・、
       花の名前も分からないまま・・。

          



再びお逢いする事のないその方へ  伝えたい...

        
          「貴方のお陰で   今日もふっと、
           
                           温かい気持ちになれます。」